スティル医師がオステオパシーの土台を開発しましたが、弟子たちがそれをより発展させていきました。
William Garner Sutherland D.O.
スティルの弟子、ウィリアム・ガーナー・サザーランド先生がオステオパシー大学の学生だった頃(1899年頃。1900年にAmerican School of Osteopathy卒業。現在のA.T.Still University)、頭蓋骨の触診をしている時に、側頭骨が魚のえら呼吸のように動いている事を感じました。
しかし、当時は頭蓋骨が動いているとは誰も思っていず、医学書にもそのような記述は載っていませんでした。しかしやはり頭蓋骨が動いているような気がする。サザーランドは初めはそのような考えは馬鹿げていると思い忘れようとしましたが、その奇妙な動きが頭から離れなくなっていきました。
スティル医師からの激励、研究に没頭する日々
サザーランドはスティル医師に、頭蓋骨が動いてるような気がするということを話し、どう思うか聞いてみました。するとスティル医師は、サザーランドを激励し、その動きを研究しなさいと促されました。
以降、数十年に渡り、頭蓋骨の動きとそのメカニズムについて考え続けました。
毎日、自分の患者の頭を触り、夜は自分の頭や家族の頭を触り、動きを研究していきました。ある時は万力で自分の頭を締めつけ、意図的に病変を作り、どう変化するかという事まで研究していたそうです。
何しろ誰も知らない未知の医学分野ですから、考えうるあらゆる事を試していたようです。
サザーランドD.O.が発表した頭蓋運動理論
数十年の研究の末、サザーランドD.O.はこの頭蓋領域のオステオパシー理論について発表しました。
有名な「第一次呼吸メカニズム」(Primary Respiratory Mechanism)です。サザーランド先生は通常の肺呼吸よりも脳と頭蓋骨の呼吸のような動きが生命にとってより上位であるとし、それを第一次呼吸と呼び、肺呼吸を第二次呼吸と呼びました。
脳と頭蓋骨の呼吸様運動
脳や神経、そして身体の全ての組織は呼吸様の動きをしています。
脳と三層の膜(軟膜、くも膜、硬膜)、脳脊髄液、頭蓋骨、脊髄神経と脊椎、仙骨及び尾骨。それらは一体として呼吸のような動きを行なっている。
さらに、脳を包む硬膜が脊柱管内の脊髄神経を包み仙骨・尾骨までが一つの塊として繋がっている事から後頭骨と仙骨が連動した動きをしていると考えました。
サザーランドD.O.はその動きを手で触診し、動きが悪くなった部位に触れ、呼吸様の動きが改善される様に刺激をしていくと身体が自己回復していく事に気づきました。
数十年の研究の末、「頭蓋領域のオステオパシー」として発表、現在ではオステオパシーでは欠かせない存在となっています。
頭蓋オステオパシーの効果
頭蓋オステオパシーは新生児から高齢者まで、あらゆる年代の方が受けられます。
脳や神経系は内臓や筋骨格系、内分泌器官、あらゆる身体の部位とも繋がり、全ての人がこの技術の恩恵を受ける事ができます。
脳・神経系や頭蓋骨の調整を受けると、健康度がより向上し、より快適な生活を送れるようになると言われています。